嚥下障害リサーチセンター 重症筋無力症の嚥下障害

国立精神神経研究センター 山本敏之先生。

1)筋収縮を続けると筋力が低下し、休息によって回復する。

2)易疲労性と日内変動を呈する。

3)初発症状は眼瞼下垂71%、複視47%、四肢筋力低下23%、球症状14%で冠戒律未満だが仕事に支障がないまでの改善は50%異常である。

4)免疫療法で治療する。抗コリンエステラーゼ薬は補助的に使用する。

5)エドロフォニウム試験は速効性だが診断の一助として行う。

6)疲労によって増悪し、休息によって改善する。ただし、重症例は疲労しなくても嚥下障害を合併する。全身の筋肉低下と嚥下障害は必ずしも関連しない。

7)筋力低下のため液体より固形物の嚥下で食物輸送の障害が目立つ。嚥下を繰り返す(複数回嚥下)。エドロフォニウム試験で改善する(特に抗アセチルコリン受容体抗体陽性重症筋無力症)。

8)原疾患を治療する。

9)治療は免疫療法が中心で、抗コリンエステラーゼ薬は補助的薬剤として有効である。

10)増悪時は血液浄化療法や免疫グロブリン大量静注を行う。

11)急性期の摂食嚥下リハビリテーションは疲労を誘発し、クリーゼのリスクがある事に注意する。

12)クリーゼとは、重度の呼吸筋の疲労で、急激な呼吸困難をきたし、気管内相関・人工呼吸器管理が必要な重篤な状態になること。重症筋無力症の経過中に10~15%の患者が経験する。